このブログで紹介料を稼ぐ計画を、着手した初日に畳んだ話
2回予告して、2回とも別の記事に差し替えた話をようやく書く。
このブログには最初から目的が一つあって、それは「記事の中で使っているツールを紹介して、そこから継続的な紹介料を得る」ことだった。8月頭に一度手を止めて棚卸しをしたとき、その目的に一番近い部分だけが丸ごと手つかずで残っているのに気づいた。紹介リンクも広告表記も、公開済みの記事に1本も無かった。
で、ようやく着手した。着手した日のうちに畳んだ。
前提が崩れたのが3回あって、3つ目が本題になる。
そもそも、本命の数字が実在しなかった
計画の柱はZapierだった。料率20〜25%、しかも打ち切りなしの継続報酬。紹介した人が使い続けている限り毎月ずっと入ってくる形で、記事は書けば残るものだから相性がいい。そう考えていた。
Claude Codeに一次情報を当たらせたら、Zapierの公式コミュニティにスタッフ本人の回答が残っていた。
Zapier does not have an Affiliate Program for regular users.
無い。あるのはSolution Partner Program(旧Zapier Experts Program)だけで、これは顧客のためにZapierを実装する自動化コンサルやエージェンシー向けの枠だった。俺のような書く側は最初から対象に入っていない。
つまり、計画の柱に据えていた「20〜25%・打ち切りなし」という数字は、そもそも実在しなかった。どこかの比較記事で見た数字を、自分で確かめないまま前提に置いていたことになる。
残った候補はMake、n8n、Lindy AIで、全部12ヶ月で切れる。1年経ったら、紹介した人がどれだけ使い続けていても報酬はゼロになる。
「継続報酬を得る」という名前の計画なのに、着手して最初にやったことが「継続報酬はどこにも存在しないと確認する」作業だった。
この時点で止めるべきだったかというと、たぶん違うと思う。12ヶ月でも入るなら入る。なので次に進んだ。
料率が高い方を選ぶと、手取りが半分になる
現実的な候補はMakeとn8nの2つ。Makeが料率35%、n8nが30%。
最初は素直に35%のMakeを見ていた。ところがClaude Codeに1件あたりの手取りまで出させたら、逆転した。
- n8n(30%):Starterが月額約€20。30% × 12ヶ月で、1件あたり約€72(1万1千円くらい)
- Make(35%):Coreが月額約$9。35% × 12ヶ月で、1件あたり約$38(5千6百円くらい)
月額の単価が倍以上違うので、料率の5ポイント差が吹き飛ぶ。**率だけを見比べていたら、手取りが半分の方を選んでいた。**アフィリエイトの比較記事はだいたい料率を大きく出すけど、掛ける相手の金額を見ないと順番が入れ替わる。
決め手はもう2つあった。n8nは支払いがPayPalで、これは別の商材のときに作って本人確認まで済ませてある。MakeはWiseという別サービスが必須で、この計画のためだけに新しい口座を1つ増やすことになる。さらに最低支払額の条件も、Makeは「$100以上」に加えて「有料になった人が3人以上」という人数条件が別にあった。金額が届いても人数が足りなければ1円も出ない。
というわけでn8nに申請した。
申請したその日の夜に、却下された
送信したのが日中で、通知が来たのが同じ日の20時28分。
After careful consideration, n8n GmbH has declined your application to join their program.
理由は書かれていない。再申請用のリンクだけが付いていた。
思い当たる節はあって、申請フォームに「あなたは今このサービスのユーザーですか」という項目があり、俺は正直に「まだ使っていない」を選んでいた。選択肢に「まだ使っていない」がちゃんと用意されていたので、未使用者の申請も想定されているフォームだとは思う。ただ、通ったかどうかで言えば通らなかった。
盛れば通ったかもしれない。でも盛った場合、承認された後で「実際には触っていない」という状態が残り続ける。このブログは実際にやったことを書くという一点で成立しているので、そこを崩す入り口を作りたくなかった。再申請はしない。
ここまでで実害はゼロだった。申請は無料で、作業は1時間くらい。ただ、この時点ではまだ「12ヶ月でも、1件€72でも、書けば積み上がる」と思っていた。
本題:報酬が出る条件と、読者への正解が正面衝突していた
並行して、Claude Codeに「最低支払額に届くまで何本書く必要があるか」を根拠つきで出させていた。その過程で、本数の話より先に出てきたのがこれだった。
n8nの報酬発生条件を公式ページで確認したら、こう書いてあった。
get 30% rev share for 12 months on Starter and Pro plans(報酬の対象は、n8n Cloud の有料プラン=StarterとProのみ)
n8nは自分でサーバーを借りて置く使い方(セルフホスト)もできて、そちらは無料で使える。そして報酬の対象外。
一方で、日本語で検索したときに上位に出てくる記事の主流な結論は、ほぼ一致してこうだった。
セルフホストなら月1,500円程度のサーバー代だけで実質無制限。クラウド版は月$20。自分で構築できるならセルフホストが一番安い。
ここで、俺が想定していた読者の定義を見返した。「自分で手を動かす個人」と書いてあった。
つまり、こういうことになる。
- 読者は自分で手を動かす人 → セルフホストを選ぶ → 報酬ゼロ
- 報酬が出る選択(クラウド有料版)→ 既存の日本語記事が軒並み「高い」と否定済み
- 正直に「セルフホストの方が安いですよ」と書く → 報酬が出ない
- 「クラウド版にしましょう」と書く → このブログが成立している理由そのものが壊れる
最初は「記事を分ければいいのでは」と考えた。紹介料目的の記事群と、今まで通りの記録の記事群を分けて置く。でもこれは解決にならなかった。**分かれるのは記事であって、書き手は1人だから。**同じ人間が、片方では「セルフホストが安い」と書き、片方では「クラウド版を」と書くことになる。読者から見れば同じ看板だし、俺の側から見ても、どっちが本音なのか自分で分からなくなる。
貼る場所の問題でも、書き方の問題でもなかった。報酬が出る方向と、自分が書きたい結論の方向が、最初から逆を向いていた。
ついでに本数も出したけど、もう答えは出ていた
一応、最後まで計算はさせた。
最低支払額の€100に届くまでに必要な本数は、中央シナリオで67〜500本。一番楽観的に見積もっても17〜125本だった。仮に50本書くとして、1本あたり2〜3時間(実際に触って、書く)で100〜150時間。見返りは€100、日本円で17,000円くらいで、しかも12ヶ月に分割して入ってくる。
時給にすると110〜170円。
ここで効いてくるのが「機会損失を金額で見ると誤読する」という点だと思う。申請は無料、リンクを貼るのも無料。金額だけ見れば「やっても損はしない」に見える。消えているのは100〜150時間の方で、同じ時間を本業に入れたら桁が2つ違う。
供給側も数えさせた。汎用的なキーワード3つで上位に出てきた日本語のサイトが、重複を除いて17。しかも個人で月200本以上のペースで記事を出し続けている人がいて、1つの検索結果で同じドメインが3枠を占めていた。プロフィールを見たら、個人で、40代で、会社を経営している人だった。俺が差別化の角度だと思っていた属性と、ほぼ同じだった。
「一人称の実体験なら量産記事の上に乗れる」というのも前提に置いていたけど、長い方のキーワードの上位も、すでに一人称の実体験記事で埋まっていた。一人称であること自体は、もう差別化ではなくなっている。
残したもの
畳んだのは「紹介料で稼ぐ」という路線そのもの。計画では、このあと8〜10本の記事を3〜4週かけて書くことになっていた。それは書かなかった。実作業にして20〜30時間が、そのまま手元に残った。
残したものが3つある。
広告表記の仕組み。 紹介リンクを含む記事には「広告」であることを明示する必要がある(2023年10月からのステマ規制)。リンクを1本貼る前に仕組み化しておかないと、記事が増えてから後付けするのが面倒になると思って、先に作っておいた。結果的に1本も貼らなかったけど、作るのに1日もかかっていないし、置いておく費用もゼロなので消していない。将来どの商材でも使える。
判定日。 11月9日に「このブログが機能しているか」を判定する日を決めてある。これは残した。ただし**見るものを変えた。**紹介料の金額ではなく、表示回数と、どんな検索語で拾われているかを見る。
問い合わせ導線。 畳んだ翌日に、「頼めること」の一覧ページと連絡先を作って公開した。このブログの役割を「紹介料を得る」から「仕事の相談が来る入り口」に振り直したので、そっちの入り口が無いのは話にならない。こちらは本数の勝負ではなくて、**発注を検討している人1人に届けばいい。**必要な記事の数え方がまるごと変わる。
何が発見だったか
収益導線を作るとき、俺は「どこに貼るか」から考え始めていた。既存の記事を棚卸しして、どの記事が一番リンクを置きやすいか、という順番。
正しい順番は逆だった。**先に見るべきだったのは「報酬が出る条件」の方で、それが自分の書きたい結論と同じ向きを向いているかどうか。**ここが逆を向いていると、貼る場所をいくら工夫しても、書けば書くほど自分の看板を削ることになる。
そしてこれは、調べれば30分で分かることだった。公式ページに「対象はクラウドの有料プランのみ」と書いてある。ブログを立ち上げる前に読めた。読まなかったのは、その時点では「紹介料」が目的の名前であって、条件ではなかったからだと思う。目的を名前で持っていると、条件を確かめる工程が発生しない。
配信基盤を組んで、デザインを刷新して、AI検索に引用されるための実装をして——どれも真面目にやったし、どれも「ブログのための作業」ではある。ただ目的から一番遠い順に、きれいに片付いていた。手を止めて逆算するまで、その並び順には気づけなかった。
次回
次は、畳んだ後のこのブログが実際に何の役に立ったのかを書きたい。今のところ、そこそこ書ける材料が溜まってきている。